涙が出ない理由は
ある写真を見た。
そこには私だけが写っていなかった。
その時はそこに写っている人達の幸せそうな笑顔を見て、私も何となく嬉しくなった。
でも後からズキズキと痛くなる。
どうしてそこには私だけが写っていないのか。
どうして私だけがその場にいなかったのか。
行こうと思えば行けたんだ、でも私はそれを選ばなかった。
もう手遅れだ、もうこの写真に写っている人達と並んで歩けない。
私は歩く事をやめたから。
転ぶのが怖くて立ち止まったから。
何が違う、赤ちゃんの頃から一緒だったのに。
保育園も小学も中学も一緒だったのに、写真に写っている人達と私と、何が違う。
そう思いながら喉の奥がきゅぅっと痛くなって、でも涙は出てこない。
何故かは分かりきっている。
誰のせいでもない他ならぬ自分のせいだから。
すべてが自業自得だから。
そうしてそのうに、結局泣き出すのがいつものオチなのだけれど。
鼻水たらしながら声を殺して、誰にも悟られぬように泣いているといつも思い出す。
「君は泣く時も我慢して泣くんだね」
私はこの言葉が怖い。