コンプレックス。
私は、私の容姿に一切のコンプレックスがない。
とびきりの美人でも、モデルのようなスタイルをもちあわせている訳でもない。
普通の可もなく不可もなくな容姿で満足している。
それはただ単に、己の見た目にあまり興味が無いからなのだろう、故に化粧もしなければファッションにもかなり疎い。
だけれど中身はコンプレックスの塊だ。
自分の嫌なところなら無限に言えるほどに、私は私の中身が嫌いだ。
己に疎いが故に自分が分からないでいる、理解出来ないでいる。
1番聞かれて困ることがある、
「特技は何ですか?」
私は大体のことは人並にできる、ただ人並み以上に出来ることがないのだ。
あまりにも平々凡々過ぎて、ないのだ。
だからいつも、当たり障りのない平凡な答えを用意して、それを答えていた。
でも今は少しだけ胸を張って答えることが出来るかもしれない、と思うように、思えるようになってきた。
短期間で目まぐるしく色んなことが起きたせいか、その流れに乗って行動を起こしたからなのかは分からないけれど。
ずっと俯いて立ちすくんでいた私は、相変わらず立ちすくんではいるものの、少しだけ顔を挙げられているような、そんな気がする。
ゆっくり、まるで小動物のように周りの様子を伺いながら、怯えながら、チラとだけ前を向けた気がしたんだ。
己の足が置かれている道のその先を、朧気な明日を。
もしかしたらこのまま、1歩を踏み出せるのではないか、と淡く儚い想いを今日も抱く。
そして想う「あぁこれは、幻だ」と。