早く、早く。 このままここで。
大人の振りをするのは随分と上手くなった。
当たり障りのない、耳障りのいい綺麗な言葉をつらつらと並べては、また口だけだと己に失望する。
「いつまでこんなことを続けるつもりだ、お前はなんだ、何者でどこへ向かっている、何がしたいんだお前は」
早く大人になりたい、目標、責任、維持すること。
全て私が持っていないもので、手にしたいと渇望するもの達は、いつだって掴むとまるで砂漠の砂のように留まることなく、指の間から抜け落ちていく。
上手く掴めない私を、嘲笑っているかのように、スルリと逃げて行く。
思春期の時の、何もかもが鬱陶しく、全てが敵に見え己の殻の中に閉じこもる。
自分以外の人間は全てを害悪だと考え、違う視点から物事を見る余裕なんて一切ないなくて。
今1番苦しいのは僕でしょ?
僕が1番可哀想なんだよ。
体ばかりが大きくなって大人になっても、心はいまだ子供のままだ。
中途半端に育ってしまった、不完全な子供のまま。